厚生局の指導等及び医療監視への対応策

今回は、療養担当規則の第13条(療養及び指導の基本準則)第14~15条(指導)についてご説明いたします。

第13条(療養及び指導の基本準則)

第13条 保険医は、診療に当っては、懇切丁寧を旨とし、療養上必要な事項は理解し易いように指導しなければならない。

第14条・15条(指導)

第14条 保険医は、診療にあたっては常に医学の立場を堅持して、患者の心身の状態を観察し、心理的な効果をも挙げることができるよう適切な指導をしなければならない。 第15条 保険医は、患者に対し予防衛生及び環境衛生の思想のかん養に努め、適切な指導をしなければならない。

 保険医は、診療に当って、患者及び家族が理解しやすいように懇切丁寧な説明が求められています。また、常に医学的な立場で身体的な面だけでなく、心の面も観察し、心理的な効果をもたらすような指導をしなければならないとされています。さらに、予防や環境衛生面も考慮した指導が求められているという点では、患者だけではなく、家族も含めての疾病指導(生活指導)まで行うべきことが示されています。

 しかしながら、これらのすべての指導を医師だけで行うことは難しいでしょう。よって、チーム医療という観点と予防の側面から、薬剤師、看護師、理学療法士、管理栄養士等の専門職種等の多職種が連携し、服薬、生活、運動、栄養等の指導面でのバックアップが必要不可欠です。それぞれ、専門的な指導が必要な患者については、薬剤管理指導、薬剤情報提供、糖尿病合併症管理料、リハビリテーション、栄養食事指導など専門職種による診療報酬が設定されています。このように多職種が関わる際には、医師に求められている心身の状態観察、予防的な側面も含めた指導やさらに理解しやすい説明が行われれば、療養担当規則上で求められている要件を十分に満たすことができます。

つまり、療養担当規則は、医師だけが守らなければならないものではなく、専門職種によるチームで守っていくべき規則と言えます。

ちなみに、専門職種の協働業務については、厚生労働省医政局長発0430第1号平成22年4月30日「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」に次のように示されています。以下に一部抜粋ではありますが、職種ごとの内容を示します。

各医療スタッフが実施することができる業務の具体例

(1)薬剤師

 1)薬剤師を積極的に活用することが可能な業務

① 薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダについて、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用を通じて、医師等と協働して実施すること。

② 薬剤選択、投与量、投与方法、投与期間等について、医師に対し、積極的に処方を提案すること。

③ 薬物療法を受けている患者(在宅の患者を含む。)に対し、薬学的管理(患者の副作用の状況の把握、服薬指導等)を行うこと。

④ 薬物の血中濃度や副作用のモニタリング等に基づき、副作用の発現状況や有効性の確認を行うとともに、医師に対し、必要に応じて薬剤の変更等を提案すること。

⑤ 薬物療法の経過等を確認した上で、医師に対し、前回の処方内容と同一の内容の処方を提案すること。

⑥ 外来化学療法を受けている患者に対し、医師等と協働してインフォームドコンセントを実施するとともに、薬学的管理を行うこと。

⑦ 入院患者の持参薬の内容を確認した上で、医師に対し、服薬計画を提案するなど、当該患者に対する薬学的管理を行うこと。

⑧ 定期的に患者の副作用の発現状況の確認等を行うため、処方内容を分割して調剤すること。

⑨ 抗がん剤等の適切な無菌調製を行うこと。

(2)リハビリテーション関係職種

 1)喀痰等の吸引

① 理学療法士が体位排痰法を実施する際、作業療法士が食事訓練を実施する際、言語聴覚士が嚥下訓練等を実施する際など、喀痰等の吸引が必要となる場合がある。この喀痰等の吸引については、それぞれの訓練等を安全かつ適切に実施する上で当然に必要となる行為であることを踏まえ、理学療法士及び作業療法士法(昭和 40 年法律第 137 号)第 2 条第 1 項の「理学療法」、同条第 2 項の「作業療法」及び言語聴覚士法(平成 9 年法律第 132 号)第 2 条の「言語訓練その他の訓練」に含まれるものと解し、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士(以下「理学療法士等」という。)が実施することができる行為として取り扱う。

② 理学療法士等による喀痰等の吸引の実施に当たっては、養成機関や医療機関等において必要な教育・研修等を受けた理学療法士等が実施することとするとともに、医師の指示の下、他職種との適切な連携を図るなど、理学療法士等が当該行為を安全に実施できるよう留意しなければならない。今後は、理学療法士等の養成機関や職能団体等においても、教育内容の見直しや研修の実施等の取組を進めることが望まれる。

2)作業療法の範囲

理学療法士及び作業療法士法第 2 条第 2 項の「作業療法」については、同項の「手芸、工作」という文言から、「医療現場において手工芸を行わせること」といった認識が広がっている。以下に掲げる業務については、理学療法士及び作業療法士法第 2 条第 1 項の「作業療法」に含まれるものであることから、作業療法士を積極的に活用することが望まれる。

・ 移動、食事、排泄、入浴等の日常生活活動に関するADL訓練

・ 家事、外出等のIADL訓練

・ 作業耐久性の向上、作業手順の習得、就労環境への適応等の職業関連活動の訓練

・ 福祉用具の使用等に関する訓練

・ 退院後の住環境への適応訓練

・ 発達障害や高次脳機能障害等に対するリハビリテーション

(3)管理栄養士

 ① 一般食(常食)について、医師の包括的な指導を受けて、その食事内容や形態を決定し、又は変更すること。

② 特別治療食について、医師に対し、その食事内容や形態を提案すること(食事内容等の変更を提案することを含む。)。

③ 患者に対する栄養指導について、医師の包括的な指導(クリティカルパスによる明示等)を受けて、適切な実施時期を判断し、実施すること。

④ 経腸栄養療法を行う際に、医師に対し、使用する経腸栄養剤の種類の選択や変更等を提案すること。

(4)臨床工学技士

 1)喀痰等の吸引

① 人工呼吸器を装着した患者については、気道の粘液分泌量が多くなるなど、適正な換気状態を維持するために喀痰等の吸引が必要となる場合がある。この喀痰等の吸引については、人工呼吸器の操作を安全かつ適切に実施する上で当然に必要となる行為であることを踏まえ、臨床工学技士法(昭和 62 年法律第 60 号)第2 条第 2 項の「生命維持管理装置の操作」に含まれるものと解し、臨床工学技士が実施することができる行為として取り扱う。

② 臨床工学技士による喀痰等の吸引の実施に当たっては、養成機関や医療機関等において必要な教育・研修等を受けた臨床工学技士が実施することとするとともに、医師の指示の下、他職種との適切な連携を図るなど、臨床工学技士が当該行為を安全に実施できるよう留意しなければならない。今後は、臨床工学技士の養成機関や職能団体等においても、教育内容の見直しや研修の実施等の取組を進めることが望まれる。

2)動脈留置カテーテルからの採血

① 人工呼吸器を操作して呼吸療法を行う場合、血液中のガス濃度のモニターを行うため、動脈の留置カテーテルから採血を行う必要がある。この動脈留置カテーテルからの採血(以下「カテーテル採血」という。)については、人工呼吸器の操作を安全かつ適切に実施する上で当然に必要となる行為であることを踏まえ、臨床工学技士法第 2 条第 2 項の「生命維持管理装置の操作」に含まれるものと解し、臨床工学技士が実施することができる行為として取り扱う。

② 臨床工学技士によるカテーテル採血の実施に当たっては、養成機関や医療機関等において必要な教育・研修等を受けた臨床工学技士が実施することとするとともに、医師の指示の下、他職種との適切な連携を図るなど、臨床工学技士が当該行為を安全に実施できるよう留意しなければならない。今後は、臨床工学技士の養成機関や職能団体等においても、教育内容の見直しや研修の実施等の取組を進めることが望まれる。

(5)診療放射線技師

① 画像診断における読影の補助を行うこと。
② 放射線検査等に関する説明・相談を行うこと。

厚生労働省医政局長発0430第1号 平成22年4月30日 「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」(一部抜粋)より

能見 将志 プロフィール

医業経営コンサルタント。
診療報酬担当専門研究員。診療情報管理士。中小規模の病院に18年間勤務(最終経歴は医事課長)。
診療報酬改定、病棟再編等を担当。診療情報管理室の立ち上げからデータ提出加算の指導まで行う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です