診療報酬算定のポイント ~厚生局の指導等及び医療監視への対応策~ 

 先月に引き続き、保険診療における指導と監査について解説を行います。今月は、「個別指導」について解説いたします。 

(3)個別指導について 

 診療報酬請求等に関する情報提供があった場合、個別指導を実施したが改善が見られない場合、集団的個別指導を受けた保険医療機関等のうち、翌年度の実績においても、なお高点数保険医療機関等に該当(※)する場合等に、保険医療機関等を一定の場所に集める等して個別面談方式により行う指導です。(※ 高点数保険医療機関等に該当する保険医療機関等とは、翌年度の実績において、集団的個別指導を受けたグループ内の保険医療機関等の数の上位より概ね半数以上である保険医療機関等を指します。)また、個別指導の実施件数については、医科、歯科及び薬局ごとの類型区分ごとに全保険医療機関等の4%程度を実施することとされています。 

 個別指導は、選定委員会により選定された医療機関が個別指導の対象となります。選定委員において、「保険者や患者等からの情報提供」を優先に、選定委員会で検討・議論し個別指導の対象とされているようです。信憑性の高い情報として、「従業員、元従業員からの内部告発によるもの」も多いようです。日頃から従業員が雇用環境等の不満を溜めないようにし、トラブルを避けることが大事です。 

 また、患者が診療行為と診療明細書や健保組合からの医療通知を照合して矛盾がある場合の訴えも増えてきており、患者が実名で訴えた場合、内容によっては、高点数による個別指導より優先して指導が実施されます。対応策としては、まず患者とのトラブルを避ける努力が必要です。例えば、前回と同様の治療を受けたのに窓口の支払い金額が異なると請求書や明細書を比較して不服の申立に繋がることもあります。会計窓口で前回との治療や診療報酬の仕組みの違いをきちんと説明できているか確認してください。質問に対して、真摯に説明することができれば、不満を訴えた患者からは信頼感が高まり、医療機関を変えずにそのまま通院されることになります。 

 検察・警察からの「交通事故に関する不正請求」などの情報提供も重要視されているようです。その他、「税務調査の結果、税務当局から不正・不当請求の情報が寄せられる場合」もあります。さらに、毎年行われる「立入検査で医療法標準はクリアしているが、診療報酬上の施設基準を欠いている」との通報、「会計検査院の実地検査で、不正・不当請求が発覚し、個別指導の対象になる」こともあります。 

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