診療報酬算定のポイント ~厚生局の指導等及び医療監視への対応策~ 

先月に引き続き、保険診療における指導と監査について解説を行います。今月は、「監査」について解説いたします。 

(2)監査について 

 監査の目的は、「保険医療機関等の診療内容および診療報酬請求について、不正または著しい不当が疑われる場合等において、的確に事実関係を把握し、公正かつ適切な措置を執ること。」と監査大綱に記されています。 

 監査後の行政上の措置として、指定や登録の「取り消し」、「戒告」、「注意」のいずれかの処分を受けることになります。保険医登録の取消となる基準および保険医療機関の指定が取り消される基準は以下の通りです。また、故意でなくても重大な過失が認められれば処分の対象となるため注意が必要です。 

【保険医登録・保険医療機関指定取消処分の基準】 

 ・故意に不正又は不当な診療(診療報酬の請求)を行った場合 

 ・重大な過失により、不正又は不当な診療(診療報酬の請求)をしばしば行った場合 

○不正請求の例 

架空請求:実際に診療を行っていないものにつき診療をしたごとく請求すること。診療が継続しているものであっても当該診療月に診療行為がないにもかかわらず請求を行った場合、当該診療月分については架空請求となります。 

付増請求:診療行為の回数(日数)、数量、内容等を実際に行ったものより多く請求すること。 

振替請求:実際に行った診療内容を保険点数の高い他の診療内容に振替えて請求すること。 

二重請求:自費診療を行って患者から費用を受領しているにもかかわらず、保険でも診療報酬を請求すること。 

その他の請求 

1.医師数、看護師数等が医療法の標準数を満たしていないにもかかわらず、入院基本料を減額せずに請求した場合 

2.入院患者数の平均が基準以上であるにもかかわらず、入院基本料を減額せずに請求した場合 

3.施設基準の要件を満たしていないにもかかわらず、虚偽の届出を行った場合 

4.保険診療と認められないものを請求した場合(患者の依頼のない往診、健康診断、無診察投薬、自己診療等)等。 

取り消し処分を受けた場合には、原則として5年間は再指定と再登録ができなくなります。監査後の経済上の措置として、診療内容または診療報酬の請求に関し不正、不当の事実が認められた場合、原則として5年間分を返還することになります。また、40%の加算金が加えられることもあります。(健康保険法第58条) 

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