ウィズコロナ時代、選ばれる事業所となるための3つのポイント

医療機関経営、介護施設経営に特化したコンサルティングファーム
株式会社M&Cパートナーコンサルティング
介護専門研究員 岩尾篤です。

昨日、「ウィズコロナ時代の「人」と共に成長する介護事業~利用者、家族、職員、地域から選ばれるために~」(天晴れ介護サービス総合教育研究所株式会社 代表取締役 榊原 宏昌 講師)を受講しました。今後の事業所運営のヒントが詰まっていましたのでシェアします。

広報活動を充実させ利用者から選ばれる

介護には営業が苦手という話はよく聞きます。ケアマネと信頼関係を築くことで、営業は不要という話もよく聞く話です。確かに信頼関係があれば、営業は不要かもしれません。では、信頼関係とは何でしょうか。「お互いを信じて頼る関係」ということですので、お互いの事を理解して思いやりのある関係であり、思いやりのあるコミュニケーションが取れる関係と考えます。

信頼関係の構築の入り口は、知ってもらう事であり、相手を知る事となります。どんなに小さくてもよいから、仕事を一緒に行うことが関係づくりの一環であり、一番の広報活動となってきます。

介護現場の営業は、事業所の売り込みという点よりも、関係づくりと考えて進める事をお勧めします。また、今回の新型コロナウイルスへの感染対策を広報することも重要な広報活動と考えます。実際に世間で言われている感染対策を行っていると思いますが、事業所側が知っているだろうと思っていても、以外と相手は知らなかったということもあります。

家族の気持ちを理解し家族に選ばれる

そのためにも家族へのケアをしっかり行っていく必要があります。例えば、老健は2018年の改定で在宅復帰が大きく影響していますが、家族は、老健が在宅復帰させる施設ということを知らないことも多く、また、在宅でできることや居宅介護サービスの事を知らないことも多いです。

施設系では、家族会などで制度や居宅サービスの説明を行う事、家族同士の交流会など家族支援が有効となります。何よりも家族の気持ちを理解し、エンパワーメントしていくことが重要です。

家族や利用者の意向のまま叶える事業所が良い事業所に見えますが、実際は、介護のプロである事業所の介護職員の経験をもとに予後やリスク、知見など踏み込んだ提案をし、意見交換を行いながら、合意形成を行っていくことが良い事業所と考えます。自立支援や在宅復帰など、可能性がある事は提案して、新しい価値(自宅での看取りなど)を丁寧に探していくことも施設の役割として重要な事ではないでしょうか。

職員を幸せにして職員に選ばれる

まずは職員自身が元気でなければなりません。利用者本人や家族にエンパワーメントしていくのであれば、介助を行うスタッフ自身が、エンパワーメントしていくためのパワーを持っていないとパワーを与えることができません。そのためにも個別面談は重要で、ケアを行う職員のケアも重要です。一般職のケアは管理職である管理者や介護リーダーが行っていきますが、管理職のケアを行う人がいないこともよくあります。それは、管理職の育成を管理する人がいない状況と同じことです。

働いている以上、職員にも何かしらのニーズが存在します。職員のニーズを把握し、改善する体制が求められます。ニーズが叶う体制や仕組みがあれば職員の満足度も高くなってきます。しかし、全てのニーズに応えることも、何らかの事情で難しい場合もあります。その際は、しっかりと納得のいく説明をして理解してもらう事も重要となります。今後の人材確保策にも通じるところもありますので、繰り返しになりますが、職員とは、面談や対話を行って意見交換など行う機会を作ることが大事な事と思います。

ICTなど進んで効率化されていますが、機械やロボットにできる事には限界があり、役割も違います。知る・知ってもらうことは、やはり「人」が行うべきことで、そこに信頼関係や安心感が生まれると感じます。利用者、家族の気持ち、ケアマネの事、職員の事、コロナの事をよく知っていくことが、事業所運営のカギではないでしょうか。

新型コロナウイルスの影響で、大変な時期が続いている事業所や施設もあるかと思います。緊急事態宣言が解除となったからといって、安全宣言という事ではありません。介護現場では、高齢者と接することから、緊張感と感染してはいけない、感染させてはいけないというプレッシャーとも戦っておられます。しかしこれからはウィズコロナです。その中で選ばれる事業所でなければなりません。

岩尾 篤

介護施設や通所事業所、高齢者住宅での15年以上の勤務経験を経て入社。
高齢者住宅の業務改善・入居者増・収入増に向けての指導、介護施設、事業所の入所者・利用者増に向けての指導が専門。人材確保策の指導も行う。

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