「平成30年版厚生労働白書」(平成29年度厚生労働行政年次報告)

「厚生労働白書」は、国民に広く伝えることが目的で作られていますので、わかりやすい表現が特徴。院内勉強会の資料としても良いと思います。

平成30年版厚生労働白書を3行でまとめます。

今年は、包摂と多様性がテーマ。第一部では、女性も男性も、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが包摂され活躍できる「一億総活躍社会」を我が国は目指していくことが述べられており、二部では、現下の政策課題への対応があげられています。

500頁超と長いので、診療報酬に関するものをいくつかピックアップ

診療報酬の新設(療養・就労両立支援指導料)

2018(平成30)年度診療報酬改定において、がん患者の治療と仕事の両立の推進などの観点から、主治医が産業医から助言を得て、患者の就労の状況を踏まえて治療計画の見直し・再検討を行うなどの医学管理を行った場合の評価を新設した。

平成30年版 厚生労働白書 111P

平成30年度診療報酬・介護報酬改定と薬価制度抜本改革

(1)診療報酬改定
平成30年度診療報酬改定では、いわゆる団塊の世代が75歳以上になる2025年以降を見据え、質が高く効率的な医療提供体制を整備するため、診療報酬本体を0.55%のプラス改定とした。改定に当たっては、「平成30年度診療報酬改定の基本方針」に示された
①地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進、
②新たな医療ニーズにも対応する安全・安心な医療の充実、
③医療従事者の負担軽減と働き方改革、
④医療保険制度の持続可能性を高めるための効率化・適正化
の4つの視点を柱とした上で、具体的には次のような見直しを行った。(後略)

平成30年版 厚生労働白書 367P

審査支払機関の改革

社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)をはじめとする審査支払機関については、2017(平成29)年1月に「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会報告書」(以下「報告書」という)が取りまとめられ、規制改革推進会議の指摘も踏まえた審査支払機関の業務効率化や組織の見直し並びに、ビッグデータと
ICTを最大限に活用することで、保険者と協働しつつ、医療の質の向上に寄与する役割を担うことについて記載された。

平成30年版 厚生労働白書392 P

「厚生労働白書」は事例やコラムなどもあって興味深いので、本文を読まれることをオススメします。診療報酬というワードに限って検索すると、あまりヒットしないのですが、認知症は57回、高齢者は166回、介護は524回、がんは725回、障害は、2605回登場します。就労支援を担う方、がん医療を担当する方、介護事業所のみなさんは、見ておかれると良いでしょう。斜め読みでもなさっていれば、今後の医療や介護の行方も見えます。

詳しい情報は「会員サロン」をご覧ください。

ゲノム医療推進について質問された場合、答えられますか?

がんゲノム医療の実施に向けては、「遺伝子パネル検査」の保険収載が、5月29日の中央社会保険医療協議会で認められていますが、白書にも盛り込まれていました。今後は、患者さんから問い合わせがかかる場合もあります。報道などをみた患者さんやご家族さんから、「遺伝子の検査を受けたいのだけど」と聞かれた時、「わからない」という対応をしなくても済むように、「がんゲノム医療中核拠点病院」や「がんゲノム医療連携病院」など、近隣の病院情報を収集しておきましょう。

詳しい情報は「会員サロン」をご覧ください。

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