通所介護と訪問介護





通所介護と訪問介護を組み合わせた新しいサービスの検討が現在厚生労働省で行われています。細かい内容についてはこれからの調整になりますが、2024年からの創設を目指しているとのことです。人材不足の介護の世界の中で、限られた人的資源をどう有効活用していくかが、2025年を控えた現在の重要な検討項目となります。
 訪問の対象が通所の利用者だけになるのか、訪問している間に居宅訪問チェックシートの作成のようなデイサービスの為の業務を行ってもいいのか、などはこれからの内容かと思いますが、デイサービス利用の前後の時間にも訪問できるのであれば、朝の時間に訪問し、朝食や夕食の準備をした後でそのままデイサービスまで送迎する、といった対応も可能になってくるかと思います。
 このような高齢者の見守りやケアを包括的に行うことができるようになるのは一つ大きなステップではありますが、職員の体制整備や、教育など、現場にかかっていく負担も考えておく必要があります。
 現在訪問介護職に就いておられる方の平均年齢は54歳です。有効求人倍率は15倍で、つまり15の事業所が求人を出してもその内の1つの事業所しか人員を獲得することはできない状況です。若者の入職希望者がない状態が続き、現在のような状況になったわけですが、その原因の一つとして挙げられるのが、「調理」といった訪問介護職にとって重要なスキルの1つである「家事」ができる若者が少なくなっている、ということです。
 一方、デイサービスで働いている方の平均年齢は41歳であり、訪問介護に比べると若い職員も多いと言えます。しかしこの中に、訪問の業務も兼任できる職員が果たしてどれくらいいるのでしょうか。新サービスが施行されると、一部の職員にのみ圧倒的な業務負担が掛かってくる恐れも出てくるかもしれません。
 DXという流れの中、ITスキルに関するリスキリングが広く発信されていますが、訪問介護職などに必要とされている「調理」「洗濯」「掃除」そして「会話」などのスキルも我々の生活にとっては非常に重要なものであり、リスキリングの対象として教育体制を整えることで、新サービスの対策だけでなく、もしかしたら介護人材不足の対策になるかもしれません。

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