入院医療分科会の議論について 

令和5年8月10日に中医協「令和5年度第5回入院・外来医療等の調査・評価分科会」が開催されました。 

 急性期入院料は、主に一般病棟用の重症度、医療・看護必要度における議論が行われています。一般病棟に入院する75歳以上の患者で誤嚥性肺炎や尿路感染症等の治療において、急性期一般入院料1と地域一般入院料の場合で、医療資源投入量の差が小さい結果となっています。また、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合は、急性期一般入院料の施設基準以上高くなっており、誤嚥性肺炎及び尿路感染症は、基準2(A得点3点以上)を満たさない場合に基準1(A得点2点以上及びB得点3点以上)を満たす割合が全疾患の平均よりも高かったという結果でした。今後は、高齢者の軽症・中等症の救急搬送が増え、集中的な急性期医療を必要とする患者への対応に対する適切な評価及び機能分化の推進の観点から、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度等についてどのように考えるかが論点となっています。 

 地域包括ケア病棟では、前回より議論されている救急搬送患者についての内容が引き続き行われています。入棟経路別の医療資源投入量において、救急搬送後、直接入棟の患者は、包括範囲の医療資源投入量が多い傾向となっています。さらに、救急搬送後直接入棟の患者の割合は、多くの病棟・病室で5%未満ですが、129 施設では 15 %以上でした。救急搬送後直接入棟の患者の割合が15 %以上である地域包括ケア病棟は、割合が5%未満である地域包括ケア病棟と比較して、包括範囲の1日あたり医療資源投入量が多い傾向であることが分かりました。今後は、地域包括ケア病棟に入棟した患者のうち、救急搬送後、直接入棟である患者の特徴を踏まえ、患者の評価についてどのように考えるかが論点となっています。 

(参考資料:令和5年7月5日中医協「入院について(その1)」より) 

執筆者 能見将志

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です