【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「自費徴収のルール(その1)」

こんにちは、長パートナーからコラムが届きましたのでご紹介いたします。

今回はQ&Aでもお問い合わせが多い「自費徴収のルール」についてみていきたいと思います。今回は「告示8」を読み解いていきます。
分量が多くなるので、2回に分けてみていきましょう。
1回目は、掲示要件と手続きについてみていきましょう。

■院内の見やすいところに掲示する(要件)
保険外負担については、「その適切な運用を期するため、院内掲示の対象とすることとした」とされており、これは「厚生労働大臣が定める掲示事項」の中に記載があります。
したがって、患者から費用の支払いを受けている個々のサービスやものについて、その項目とそれに要する実費を記載し、ロビー等の見やすい場所に掲示することが必要です。

<掲示例>
当院では、以下の項目について、その使用料、利用回数に応じた実費の負担をお願いしております。
・紙おむつ代  1枚につき     〇〇円
・理髪代     1回につき     〇〇〇〇円
・普通診断書代    1通につき   〇〇〇〇円
・入院証明書(生命保険) 1通につき  〇〇〇〇円

 ― ― ― 内容を記載 ― ― ―
なお、衛生材料費等の治療(看護)行為及びそれに密接に関連した「サービス」や「もの」についての費用の徴収や、「施設管理費」等の曖昧な名目での費用の徴収は一切認められていません。
〇〇年〇月  〇〇〇〇病院(診療所) 院長

■費用徴収のための手続き
療養の給付と直接関係がないサービス等については、社会保険医療とは別に提供されるものであることから、もとより、その提供及び提供にかかる費用の徴収については、関連法令を遵守した上で、保険医療機関等と患者の同意に基づき行われるものである、とされています。このため、保険医療機関等はその提供及び提供にかかる費用の徴収にあたっては、患者の選択に資するよう留意点が記載されています。
① 院内掲示
前述したように、徴収する費用については、明確にして掲示する必要があります。
② 患者への説明と同意
掲示内容をA4サイズに縮小し、説明及び同意書としてサイン欄を作られるのが良いと思います。入院の場合は入院説明・誓約書(同意書)の中に入れ込むとよいと思います。介護サービスの場合は契約書及び重要事項説明書の中に入れ込み、外来の場合は、「文書申込書」等の形で対応されるケースが多いのではないでしょうか?
③ 金額と領収書(明細書)の発行
金額は「社会的に見て、妥当適切なものとする」、と記載されています。
また、患者から費用徴収したものは、他の費用と区別した内容のわかる領収書を発行する、と規定されています。
④ 注意事項としては、保険給付と重複した費用徴収になっていないか?
いわゆる「施設費」「お世話料」のように入院料で評価されているもの、雑費として衛生材料費等を徴収することはできないものとされています。

さて、如何でしょうか?
今回は、実費を徴収するための基本的ルールとして「掲示要件がある」ことと、「費用徴収のための手続き」についてみてきました。
次回は、具体的に「自費徴収できるもの」「自費徴収できないもの」を見ていきたいと思います。

パートナー 長幸美