【令和3年度介護報酬改定】訪問看護と訪問リハビリテーション

こんにちは、長パートナーよりコラムが届きましたのでご紹介いたします♪

訪問看護及び訪問リハビリテーションは、簡単に言うと、訪問看護職員又はリハビリスタッフが利用者さんのご自宅を訪問し、医療的な処置やリハビリを行うものです。今回の改定では、より専門的なサービス提供と質の向上を目指して、欲しいというメッセージが込められているように思います。

訪問看護ステーションが提供する「PT・OT・ST」等のリハビリ専門職が提供するサービスについて、厳しい改定になりました。
そもそもの「訪問看護サービス」の内容を問われているように思えます。

【訪問看護とは】
主治医と連携を密にしつつ、心身の状態に応じた身体的・精神的看護の他、入退院(入所・退所)についての相談、必要に応じた在宅ケアサービス等を始め関連機関との連携などにより、利用者様のご希望に沿った療養生活をかなえるための様々な支援や調整を行う、とされています。(公益財団法人日本訪問看護財団ホームページより)

【訪問看護サービス】
「看護」とつきますから、健康状態のアセスメントや医療的なケア、病状の悪化防止等が重要とされていますが、何よりも、生活(在宅)の中での全身の健康状態(バイタルをはじめとし、皮膚の状態・意欲、意思疎通、認知状態、栄養状態、排せつの状態、等々の状況把握、管理等が必要になってきます。
・健康状態のアセスメント
・日常生活の支援
・心理的な支援
・家族等介護者の相談・助言
・医療的ケア
・病状悪化の防止(予防的措置)
・入退院時の支援
・社会資源の活用支援
・認知症者の看護
・精神障がい者の看護
・リハビリテーション看護
・重症心身障がい児・者の看護
・エンドオブライフケア     /など

【今回改定の特徴】
これらの訪問看護の質を高めるために、今回は「訪問看護ステーションにおける訪問看護の質」の評価として、「訪問看護ステーション内における看護師の割合」さらにPT・OT・ST等のリハビリ専門職による訪問看護の評価を見直されました。
反面、医療機関から提供する「訪問リハビリテーション」に対する評価が上がってきています。これはPT・OT・STの役割を明確にして適正な訪問看護及び効果的なリハビリテーションを提供し、それぞれの専門分野でしっかりと対応するようにといわれているように感じています。

これはPT・OT・STの立場からすると、正念場だと思います。
「訪問リハビリとして、より専門的なサービス提供を行ってほしい・・・」というメッセージ、これにどう応えていくのか、ということではないかなと思っています。

【在宅医療の考え方】
在宅医療は「通院が困難な利用者」に対して給付する」という大前提があります。
今回、要支援者に対し1年以上の長期にわたり訪問看護等のサービス提供をしている場合に減算されることになりました。
これは、要支援等の要介護度が低い方への長期的な訪問看護・訪問リハビリについては、本当に必要ですか?と問われているのではないかと思います。

介護保険の理念(第1条)に基づき、「その方の有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」サービス提供を行うことが求められ、「国民の共同連帯の理念」に基づき、家族等でできることは頑張って・・・といわれているように思います。

【在宅移行支援】
退院・退所当日の訪問看護が、全面的に認められるようになりました。
これまでは特別管理加算の算定対象者には認められていましたが、それ以外でも主治医が必要だと認めたものについては、ショートステイも含めて対応が可能となります。

【訪問リハビリテーションの改正点】
訪問リハビリテーションについては、他の先生からの紹介で利用されるケースもあると思いますが、よりリハビリの効果及びマネジメントを強化するために、事業所内の医師の関与が求められることになり、1回あたりの減算幅が倍以上に大きくなりました。また、事業所の医師に求められる適切な研修の修了等については、3年間の経過措置がついていますが、この3年間に研修を受けていただく必要があると思います。

今回の改定、「医療と介護の連携」がキーワードになっていると思います。基本報酬は訪問看護・訪問リハビリともにかなり上がっていると思いますが、これまでと同じスタンスでサービス提供を行われた場合に、減収になることも予測されます。
皆さんの事業所の評価、何を求められているのか、ということは「加算」という形で、明確に示されています。重要なものに対しての経過措置は多くが3年間設けられていますが、この3年間をいかに使っていくかによっては、3年後の改定それ以降の事業展開に影響が出るのではないかと危惧しています。
是非、内外分析及び業務改善により、よりよいサービス提供を目指していただきたいなと思います。

パートナー 長幸美