Q&Aより「介護保険で支給限度額を超えてしまったら?」

こんにちは、長パートナーからコラムが届きましたのでご紹介いたします。

医療法人で訪問看護を行う場合に、「支給限度額を超えてしまって介護保険サービスが提供できません!といわれたんですけど、どうにもなりませんか?」と相談を受けることがあります。今回はこの支給限度額を超えた場合の対応について考えてみましょう。

目次

  • 1 ■そもそも介護保険の支給限度額って?
  • 2 ■訪問看護は介護保険も医療保険も使える!
  • 3 ■それでも支給限度額をオーバーした場合は?

■そもそも介護保険の支給限度額って?

介護保険では、要介護認定を受けた場合に、その要介護度によって給付(使用)できる限度額が決められています。介護保険の場合は、サービス単価が「単位」で示されます。金額の換算は、概ね1単位10円で計算されますが、地域やサービスの内容により異なります。
支給限度額の範囲内で介護サービスを利用した場合は、自己負担の割合が、1割もしくは2割になり、支給限度額を超えてサービスを利用した場合は超えた分が全額自己負担となります。

■訪問看護は介護保険も医療保険も使える!

要介護者への訪問看護は、原則として介護保険が優先されます。
訪問看護の場合、単価が高い為、ケアマネジャーさんから担当者会議等で回数の制限をされる場合があります。介護保険の目的は、「自立支援」であり、ケアマネジャーさんは、「善意の方」ですので、生活のサポートで必要なサービスを優先される場合が多いと思います。
しかし、自立支援を考えると訪問看護での処置や観察、リハビリテーション(訪問リハビリを含む)などを必要とする場合があります。そのような場合、健康観察が主たる目的なのか、医学的処置が目的なのかを基準に考えてみられるとよいのではないかと思います。
仮に、急性増悪等により、臨時的に医学的処置が必要な場合には、医療保険への切替ができる場合が多いでしょうから、特別指示書等で医療保険を使うこともできると思います。こういった判断をするためには、医療者側も介護保険や医療保険の訪問看護・訪問リハビリをよく理解しておく必要があります。つまり、疾患や状態により医療保険が優先されるものをよく把握しておくということです。

■それでも支給限度額をオーバーした場合は?

ケアプラン上に必要な介護保険サービスを記載し、どのサービスが何単位オーバーしたのか、明確にして自費請求することになります。このため、要介護者の場合、どのような介護サービスが必要で、介護保険でどのようなサービスを提供し、どれだけオーバーしたのか、ということをきちんと把握しておく必要があります。
また、状態に合わせてケアプランを組んだ時に、しょっちゅう限度額を超える場合は、もしかしたら区分変更の時期かもしれません。こういったアドバイスは、全身状態を把握できる医療者側からアドバイスできるといいと思います。
私がかかわっていた医療機関でも、毎月介護保険の支給限度額がオーバーしてしまうことから、ケアマネジャーさんに相談し、区分変更の申請をした結果、実際に要介護の区分が上がった事例もありますし、2段階上がった方(要介護2⇒要介護4)もいらっしゃいました。

今回のご相談の場合は、お話を伺っていると、褥瘡ができ、かなりの深さのもの(ポケット形成あり)で、毎日褥瘡処置が必要な状態でした。このため、訪問診療医師から皮膚科医師に診療を依頼し(情報提供書)、診療して(他科の訪問診療)、特別訪問看護指示書を出してもらい2週間医療保険で訪問を行うことになり、実費での請求はありませんでした。また、がんの患者さんでもあったため、在宅がん医療総合診療料に該当する事例でもありました。

介護保険での支給限度額が超えた場合、支給限度額内は1割もしくは2割の負担ですが、超過部分については10割の負担となります。その場合であってもケアマネジャーさんに相談が必要となりますので、ご留意ください。

パートナー 長幸美

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です