厚生局の指導等及び医療監視への対応策

今月は、先月に引き続き施設基準の届出に関するルールについて、ご説明いたします。

3.施設基準の変更届出・取下げ
 (1)届け出受理後に届出内容と異なった場合
    ・速やかに変更届けを行う必要があります。
 (2)施設基準、人員基準を満たさなくなった場合や保険医療機関の所在地及び名称が変更された場合
    ・届出の変更または取下げを行う必要があります。ただし、要件変動の特例に該当している間であれば、変更届出を行う必要はありません。

4.その他、届出要件を満たす上での注意点
 (1)必要要員の管理
  要件を満たさず返還となる事例で最も大きな損害を被るのは、看護職員や看護補助者の人員不足によるものです。入院患者数は日々変化する中で、勤務時間数や正看比率などの基準を満たしているかどうか、今の職員数であれば何名まで稼働を上げることができるのかの確認が必要です。

 (2)夜間帯の看護職員の配置について
  一般病床は、「正看護師1名以上を含む2名以上の夜勤体制」が必要です。しかしながら、病院によってはこのルールを知らずに准看護師2名の夜勤体制になっているケースがあります。これは、明らかに施設基準上の違反となります。
  また、夜間外来や救急患者を外来で対応する場合に看護職員2名配置の病院で、そのうち1名が病棟を離れて対応することも認められません。もし、このような事象が発生する場合は、病棟の夜勤看護体制を3名にしたり、夜勤外来看護職員を1名配置したりする対応が必要です。

 (3)平均夜勤時間数72時間について
  一般病棟入院基本料、結核病棟入院基本料、精神病棟入院基本料及び障害者施設等入院基本料を算定する病棟において、看護職員の平均夜勤時間数72時間以下であることの要件があります。この平均夜勤時間72時間以下のルールは、要件として満たせづらいものでもあります。前回でもあったように暦月で3ヶ月を超えない期間の1割以内の一時的な変動については、届出の変更を行う必要はありません。
  これらのように、人員基準を満たせなくなった場合、収入に大きな影響を及ぼします。そのことが後で発覚し、返還となれば満たさなくなった期間の返還金支払いが必要となり、組織の存続にも関わってきます。今後は、人口減少が進んでいく中で、人員の確保が厳しくなります。そのため、毎月の確認に加え、産休・育休の管理、職員の退職や採用時のスケジュール作成等、人事管理体制を強化することも重要となるでしょう。

届け出受理後は、適時調査が原則として年1回(受理後6ヶ月以内を目途に)行われます。適時調査により、届出の内容と異なる事情等がある場合には、届出の受理の変更など、運用の適性を図る必要があります。これまで、この適時調査については、数年に1回の実施やほとんど実施されていない都道府県もありましたが、近年は規定通り実施されるところが増えてきていますので、届出後も引き続き要件を満たしているかどうかのチェックを行っていくことが必要です。
 この施設基準の点検として、年に1回(毎年7月)地方厚生局へ要件を満たしているか院内での自己点検を行い、提出するいわゆる定例報告が行われます。年に1回の自己点検で基準を満たしているか確認するのではなく、毎月いや毎日のチェックが非常に重要です。

 (2)適時調査で届出内容と異なる場合や適合しないことが判明した場合
 適時調査により、基準に適合しないことが判明した場合は、次の取扱いとなります。
 ①所要の指導後に改善が見られない場合は、届出の受理の取り消し。ただし、その際は弁明の機会が与えられます。
 ②受理の取り消しが行われた場合は、届出に係る診療報酬は不当利得として、変換措置が取られます。また、当該と届出に係る新たな届出は、6ヶ月間はできません。

 このように基準の遵守ができていなければ、様々な罰則がでてくる可能性があります。常日頃より施設基準の人員や数値を管理し、医療機関全体で意識を持つことが重要です。