厚生局の指導等及び医療監視への対応策

M&C能見です。前回に引き続き『療養担当規則』についてご説明いたします。今回は保険外併用療養費に係る療養の基準等についてからになります。ご承知の通り、一連の診療行為において保険診療と自由診療を併用することは原則として認められていません。このことを「混合診療の禁止」と言います。

保険外併用療養費に係る療養の基準等
第5条の4 保険医療機関は、評価療養、患者申出療養又は選定療養に関して第5条第2項又は第3項第2号の規定による支払を受けようとする場合において、当該療養を行うに当たり、その種類及び内容に応じて厚生労働大臣の定める基準(告示8⃣第2・第3)に従わなければならないほか、あらかじめ、患者に対しその内容及び費用に関して説明を行い、その同意を得なければならない。 2 保険医療機関は、その病院又は診療所の見やすい場所に、前項の療養の内容及び費用に関する事項を掲示しなければならない。

したがって、一連の診療行為の一部に保険適用となっていない保険外診療があると、保険が適用される診療も含め、すべての診療行為が自由診療とみなされ、医療費全額が自己負担となります。 ただし、例外的に保険外診療を受ける場合でも厚生労働大臣の定める項目については、保険診療との併用が認められています。それが「保険外併用療養費」です。



参考資料:保険診療ルールBOOK

「保険外併用療養費」は、特別なサービスや先進医療を患者さんが受けた場合、医療保険を使いながら、保険給付を超えた部分の自己負担分を別途料金として患者さんに求めることができます。

○評価療養
(1)先進医療(高度先進医療を含む)
(2)医薬品の治験に係る診療
(3)医療機器の治験に係る診療
(4)再生医療等製品の治験に係る診療
(5)薬価基準収載前の承認医薬品の投与〔薬事法に基づく承認を受けた医薬品で、薬価基準に収載されるまでの間(90日を限度)の医薬品の投与〕
(6)保険適用前の承認医療機器・体外診断用医薬品の使用
(7)保険適用前の承認再生医療等製品の使用
(8)薬価基準に収載されている医薬品の適応外使用(薬事法上の用法・用量・効能・効果の一部変更申請が認められた医薬品の適応外使用)
(9)医療機器〔(8)と同様〕
(10)保険適用されている再生医療等製品の適用外使用
○患者申出療養
(11)未承認薬の使用など、患者からの申出に基づき、個別に認可される保険外療養
○選定療養
(12)特別の療養環境〔差額ベッド(定員4人以下の病室で、患者希望による場合のみ)、差額診察室〕
(13)予約診察
(14)患者の希望による時間外診察
(15)200床以上(一般病床に係るものに限る)の病院の紹介なし初診
(16)特定機能病院および許可病床400床以上の地域医療支援病院の初診 2020年4月からは、特定機能病院および地域医療支援病院(一般病床200床未満を除く)に変更。
(17)200床以上(一般病床に係るものに限る)の病院での再診(他医療機関への紹介を申し出たにもかかわらず受診した場合)
(18)特定機能病院および許可病床400床以上の地域医療支援病院の再診 2020年4月からは、特定機能病院および地域医療支援病院(一般病床200床未満を除く)に変更。
(19)制限回数を超える医療行為
(20)180日を超える入院〔別で定める患者は対象とならない〕
(21)前歯部の材料差額
(22)金属床総義歯
(23)小児の齲蝕罹患患者の指導管理

次回は「保険外療養費」について、医療機関に求められている掲示についてお伝えします。

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能見 将志 プロフィール

医業経営コンサルタント。
診療報酬担当専門研究員。診療情報管理士。中小規模の病院に18年間勤務(最終経歴は医事課長)。
診療報酬改定、病棟再編等を担当。診療情報管理室の立ち上げからデータ提出加算の指導まで行う

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