保険診療の“しくみ”

当社執行役員村上が主催する「医療実務研究会」をご存じでしょうか。 九州を中心に全国の89の医療機関さんが加盟し、日々活発な情報交換をし、毎月勉強会も行っています。

7月の勉強会テーマは「保険診療の“しくみ”」
講師は村上佳子執行役員でした。

  • 療養担当規則
  • 国民皆保険
  • 保険外併用療養費
  • 評価療養
  • 混合診療

などの基本的な内容から、「難しい保険診療の仕組みを患者さまにどう伝えるか」といったことまでを学びました。

算定方法しか知らない医事課で良いのか

医事課に入職すると、算定の方法は教えてもらいます。けれど、その基となる療養担当規則について学ぶでしょうか。ましてや、「読み込む」ことはないでしょう。これは、多くの医事課の問題なのですが、就職したのちに保険診療に対し学ぶ場所がないのです。
…しかし、それでよいのでしょうか。

良いはずがありません!
基礎を振り返り、今出来ていないことを改善していく機会を持ちましょう。

「保険診療の”しくみ”」は保険診療を行う医療機関で働くすべての職種が聞くべき内容です。

たとえば、 国民皆保険制度やフリーアクセス。日本に住んでいると、あたりまえのことですが、実はこれらは、世界に誇るべき日本独自の制度です。そうした”しくみ”を学ぶことで、そのありがたみが理解でき、守っていかねばならぬもの、という意識も湧きます。
そして、”フリーアクセス” だからこそ、患者から選ばれる医療機関になるための努力が必要であることがわかります。

患者さんとの信頼関係が重要であることなども理解できれば、患者さんに納得をしてもらえるように、丁寧な説明をしようという心持ちにもなれるのでは?

理解すれば行動が変わる。

皆さまの医療機関の窓口スタッフは、 患者さんやご家族にどんな説明をしていますか。算定ルールなどについて、少し難しい質問を受けると、「ルールですから」などと簡単に言っていませんでしょうか。これでは、相手は不信感を抱きます。

たとえルールだったとしても、”しくみ”を知っていれば、もう少し丁寧な受け答えができるのではないでしょうか。”しくみ”を知ることは、接遇の向上にもつながっていきます。

勉強会では以下のことも振り返りました

  • 保険診療以外のものとして、保険外併用療養費として患者の希望で行う選定療養や保険導入前の医療の評価療養がある。
  • これらとは別に実費徴収のルールや自由診療、混合診療があり患者への請求に注意を要する。徴収できる項目と金額は院内に掲示義務がある。
  • 診療録の記載の基本事項として、療養担当規則第22条に「保険医は、患者の診療を行った場合には、遅滞なく診療録に当該診療に関し必要な事項を記載しなければならない」とある。
  • 療養担当規則は全23の条項からなっており必ず読む必要性がある。 
  • 診療録の記載の原則として診療の都度記載し、医師の備忘録ではなく、行った診療の事実を正確に記載する必要がある。
  • 症状、所見、治療計画は完結明瞭に記載し、説明内容も同様である。診療録は公的な記録であり開示請求の対象となる。よって、患者の性格や態度、トラブルに対し非難等は記載しない。時系列で記載し、推測や自己弁護ととれる記載はしない。
  • 薬剤において名称が似た薬剤がある。例えば、セロクラール(眩暈治療薬)とセロクエル(統合失調症薬)、ノルバスク(高血圧治療薬)とノルバデックス(抗乳癌剤)等、非常に似た名前で全く効能が違うため、薬剤の記載は注意が必要である。
  • 薬には、用法・用量や患者さんへの渡し間違い等のリスクが伴っている。「くすり」を逆から読むと「リスク」に変わる為、医療現場では患者へ処方される前に何度もチェックが必須となる。
  • 診療録には7つの価値、「患者診療上の価値」、「医学研究上の価値」、「医学教育上の価値」、「公衆衛生上の価値」、「病院管理上の価値」、「法律上の価値」、「医療保険上の価値」があり、丁寧に管理する必要がある。

能見 将志

診療情報管理士。大学卒業後、中小規模の病院に18年間勤務。
診療報酬改定、病棟再編等を担当。診療情報管理室の立ち上げからデータ提出加算の指導まで行う。

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