厚生局の指導等及び医療監視への対応策

今月は、保険外併用療養費について、ご説明いたします。

 ○保険外併用療養費とは

 健康保険では、保険が適用されない保険外の療養を受けると、保険が適用される療養にかかる費用も含めて、医療費の全額が自己負担となります。ただし、医療技術の進歩や患者のニーズの多様化に対応するために、保険適用外の療養を受ける場合でも一定の条件を満たした評価療養や患者申出療養と選定療養については、保険との併用が認められ、保険の枠を超える部分についての差額は自己負担となりますが、保険が適用される療養費には保険給付が行われます。「評価療養」とは高度先進医療や将来的に保険適用を検討し医療保険の対象であるか評価するものをいいます。「患者申出療養」とは、困難な病気と闘う患者の思いに応えるため、先進的な医療について、患者の申出を起点として、安全性や有効性等を確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられるようにするものをいいます。「選定療養」とは、保険適用を前提とはしませんが、患者が特別に希望する医療のことをいいます。

(図表1)

ただし、図表1にある評価療養の5種類と患者申出療養、選定療養の10種類以外の行為を保険診療と同時に行うことは現段階では認められていません。もし、これら以外の行為を行った場合は、「混合診療」に該当します。通常、1つの診療の中で保険診療と自由診療を同時に行うことは「混合診療」となり認められません。「基本診療+オプション」という考え方は違法とされており、仮に1つでも保険適用外の行為を保険診療時に行えば、その診療自体が自由診療になってしまいます。その結果、患者は医療保険の適用がなくなり、すべての医療費を全額自費負担することになります。

<混合診療となる例>
1.診察は健康保険で薬は保険のきかない薬を処方。   ➩診察も薬もすべて自費。
2.薬30㎎まで保険、あと20㎎を自費。   ➩診察も薬もすべて自費。
3.未承認の抗がん剤を使用したい。   ➩すべての医療行為が自費。
4.3回目からのエコー検査は自費。   ➩すべての医療行為が自費。

ちなみに健康保険の制度として、保険適用とならないものには、以下のようなものがあります。

○本人の犯罪行為が原因の場合
○故意に起こした傷病
○闘争、泥酔
○療養上の指示に従わない場合
○不正受給
○届けのない第三者による行為
○その他、通常の妊娠に関する検査、健診、薬を紛失したときの再投薬など