厚生局の指導等及び医療監視への対応策

今月も前回に引き続き、療養担当規則第20条6の(リハビリテーション)にかかる内容について、ご説明いたします。

3)廃用症候群の取り扱いについて

 廃用症候群のリハビリの対象患者は、「外科手術又は肺炎等の治療時の安静による廃用症候群その他のリハビリテーションを要する状態の患者であって、一定程度以上の基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力及び日常生活能力の低下を来しているもの」となっています。そこで、維持期のリハビリ患者が多い医療機関での実地指導では、「廃用症候群とは、今回の肺炎等の治療がきっかけで急激なADL低下を来した方を対象とし、その疾患を患う以前からADL低下により、リハビリテーションが必要な状態の患者は該当しない」との指導を受けています。よって、もともと骨折や変形性関節症等の疾患で運動器リハビリを行っている患者で、算定上限が迫ったため廃用症候群の病名へ変更しているケースについては、返還の指導が以前より行われています。リハビリを継続するための病名変更ですが、本来、算定上限を超えた場合、月13単位までの算定であることが要件になっているため、認めないとの判断だと考えられます。

 また、心大血管疾患リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料、障害児(者)リハビリテーション料又はがん患者リハビリテーション料の対象となる患者が廃用症候群を合併している場合、廃用症候群に関連する症状に対してリハビリテーションを行った場合は、廃用症候群リハビリテーション料により算定するとあります。心大血管疾患リハビリや運動器リハビリ等に対象の患者が、治療の安静により廃用症候群を来していれば、廃用症候群リハビリを算定することになります。

 先月と今月でリハビリに関するルールをピックアップしお伝えしましたが、よく現場で目にする課題として、リハビリ部門が診療報酬を理解せずに医事課と連携が取れていないことがあります。診療報酬や介護報酬においても指導の際には、算定内容と記録内容の整合性が確認され、医師の指示内容、対象病名、記録等が照合されます。どのような病名でリハビリの報酬が請求されているか、リハビリスタッフも理解していなければ、算定内容に応じたリハビリ記録にはなり得ないものと考えます。少なくとも専門職自身が提供しているリハビリの算定ルールは理解しておくべきでしょう。一方で医事課は、算定ルールの根拠を現場にわかりやすく伝え、請求漏れや記録漏れによる機会損失を減らせるよう、互いに確認し合える体制づくりを構築することも重要です。