介護業界への就職

11月8日に閣議決定された2022年第二次補正予算案で、厚生労働省より「介護福祉士修学資金等貸付事業における貸付原資の確保」に関する予算案が計上されました。これは、介護福祉士を目指して勉強している学生が対象の制度であり、学費や国家試験の受験費用など、総額49万円を利子無しで借りることができるものです。借りた費用に関しては、卒業の後介護業界で5年働けば返済不要となるとのことで、この予算に関して、国は12億円を確保する方針だそうです。


厚生労働省が公表している需給推計によると、2025年度には介護職員が253万人必要になる、と言われています。それに対しての供給の見込みは約215万人と言われており、38万人の介護職員が不足することになります。この38万人を少しでも埋めていくために、様々な取り組みを検討していっている状況ですが、その効果を肌で感じることができている事業所は少ないのではないでしょうか。訪問入浴サービスは、自宅で入浴のできない重度の利用者にとってはとても重要なサービスですが、人手不足などの理由により、年々その事業者数が減少してきています。


学費を理由に介護職を諦めている、もしくは視野から外している方達の数もしっかりと考える必要はありますが、介護という仕事に興味を持ってもらうための取り組みも同様にしっかりと考えていかなくてはなりません。


厚生労働省では「介護のしごと魅力発信等事業」を通じて介護の仕事のイメージを向上させていく取り組みにも力を入れています。様々な世代に魅力を発信したり、体験型参加型のイベントの開催などを通じて多くの人に訴求していくなど、あらゆる方法を試しながら打開策を模索しているのが現状です。しかし介護業界への希望者を増やすには、私たち介護の世界にいる人間も意識を高く持つ必要があるのではないでしょうか。


身体機能は少しずつ落ちていくとはいえ、年齢を重ねていくことと、人生の喜びは反比例をするわけではなく、介護のプロである方達の力が大きく貢献し、幸せに暮らす高齢者の声が、介護業界を目指す方達のモチベーションになっていくはずです。

この記事を書いたパートナー

一般社団法人 アジア地域社会研究所 原田 和将

介護現場での管理者としての経験を活かした職員研修、コーチングを中心に活動。コーチングはITベンチャーなど多岐にわたる業態で展開。国立大学での「AIを活用した介護職員の行動分析」の実験管理も行っており、様々な情報を元にした多角的な支援を行う。

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