【医療介護あれこれ】地域包括診療加算について

こんにちは、長パートナーよりコラムが届きましたのでお知らせいたします♪

皆さん、「地域包括診療加算」「認知症地域包括診療加算」と言う、かかりつけ医が算定できる項目をご存知でしょうか?
これらの加算は、外来の機能分化推進という観点から「主治医機能の評価」として設定されたものです。加算は再診料の加算となりますが、医学管理料の中に「地域包括診療料」というものもあります。この2つはどちらか一方しか届け出ることができないルールとなっています。かかりつけ医の役割を果たしておられるクリニックの先生方には検討していただきたい項目になります。

これらは、主治医機能を評価されたもので、①高血圧症、②糖尿病、③高脂血症、④認知症の4疾病のうち、いずれか2つ以上の疾患を有する患者に対して、服薬管理や健康相談、介護保険に係る相談、在宅医療の提供や24時間対応などを行うことを包括的に評価するものとして、2014年度の診療報酬改定で創設されました。しかしながら、なかなか算定が進んでいないのが現状です。
地域包括診療料については点数が高いため、患者の負担金が大幅に増加してくることがその進まない要因になっていると思いますが、再診料の加算である地域包括診療加算については、25点となりますので、比較的算定がしやすいのではないでしょうか。

【主治医機能とは】
「主治医」とは読んで字のごとく、患者の疾患の診療方針全般に対して主たる責任を有する医師のことで、外来診療や入院診療における「担当医」と同じように考えられていることが多いと思います。近年は「かかりつけ医」として、日常生活や健康に関する不安など、生活全般において「支える」ということが求められてきます。2018年度の診療報酬・介護報酬の同時改定の中で、しきりと話題になっていたので、記憶がある方も多いのではないでしょうか。

余談ですが、2020年度の診療報酬改定でもこの傾向は変わらず、従来の主治医機能に加えて「日常診療から在宅における療養まで」横断的に、より広い視点で患者を診ることが「かかりつけ医機能」であるとした評価を明確にし、その結果として地域の在宅医療機能を拡充されることが望まれています。今は、自由開業が保証されていますが、今後はどのような医療機能を担っていくかを確認されたうえで、不足している医療機能でなくては開業を許可しないなどと言った事態が発生しかねません。・・・多くの場合は在宅の主治医機能を担うように言われることも出てくるでしょう。
つまり、「治す医療から、支える医療へ」・・・クリニックに求められることが変わってきているということだと思います。

【算定要件】
基本的な算定要件のポイントは、以下のスライド資料をご覧ください。

詳細は診療報酬点数表を参照していただきたいと思いますが、「診療所」であること、原則院内処方となっていますが、24時間対応の調剤薬局との連携でも算定は可能であると思います。その他、医師の研修要件がありますが、その他はあまり難しい基準ではないと思います。

【医師の研修要件】
この地域包括診療加算の施設基準の中にある「慢性疾患の指導にかかる適切な研修」とは、どのようなものがあるのか、時々質問を受けることがあります。その回答については、2020年4月度診療報酬改定_QAの中に以下の通り回答が載せられています。
以下に、QAの回答を抜粋します。参考にしていただければと思います。また、この研修は、継続的に研修を受けていく必要があります。受講の修了証は保管しておくようにしましょう。

■対象研修
高血圧症,糖尿病,脂質異常症及び認知症を含む複数の慢性疾患の指導に係る研修であり,服薬管理,健康相談,介護保険,禁煙指導,在宅医療等の主治医機能に関する内容が適切に含まれ,継続的に2年間で通算20時間以上の研修を修了しているものでなければならない。
従って,初回に届出を行ったあとは,2年毎に届出を行うこと。
また,原則として,e-ラーニングによる研修の受講は認めない。・・・コロナ禍において緩和措置あり。なお,当該研修は複数の学会等と共同して行われるものであっても差し支えない。

■具体的には・・・
日本医師会が主催する日本医師会生涯教育制度に係る研修
29認知能の障害,74高血圧症,75脂質異常症,76糖尿病を含む
(それぞれ1時間以上の研修を受講)
服薬管理,健康相談,介護保険,禁煙指導,在宅医療等の主治医機能に関する内容
が適切に含まれていなければならない。

今回「地域包括診療加算」を中心にみてきましたが、「認知症地域包括診療加算」というものもあります。こちらは、「認知症」と「高血圧症・糖尿病・脂質異常症のうち1疾患」を有している方の生活を支えるものです。投薬内容について管理していくことが求められていますが、該当する患者さんが多い場合は、こちらも併せて考えておくといいでしょう。

パートナー 長幸美