【医療介護あれこれ】在宅医療における多職種連携①~入院時から始まる退院支援~

こんにちは、長パートナーからコラムが届きましたのでご紹介いたします。

これまで薬剤師や管理栄養士の立場からの「連携」「在宅支援」ということについて何度かお話をしてきました。今回お話をしようと思っているのは、患者の立場から見た在宅医療についてです。数回に分けて考えていきたいと思います。

第一回目の今日は、「入院時から始まる退院支援」と題して、入院治療後のスムーズな退院について考えてみたいと思います。

【入院の支援】
在宅の患者さまが入院する場合、様々な理由があると思いますが、どのような理由を思いつきますか?

・在宅で加療中の病状が悪化した場合
・感染症等の急性期疾患にかかってしまった場合、
・何らかの理由で転倒し、骨折してしまった場合、
・日常的に介護している家族が病気になってしまい入院加療が必要になった場合

…このような様々な理由があるのではないでしょうか?

【病院は怖いところ・・・】
医療機関にとっては、多くの患者のひとりであり、同じような治療を何度も経験してきていると思いますが、入院する患者さまやご家族さまにとっては、初めての経験かもしれません。相当に不安を感じておられるでしょう。
そういった中で、これまで診療してくださっていたかかりつけ医や訪問看護師、ケアマネージャー・・・つまり在宅側とこれから治療をしてくださる病院側の連携がしっかりと取られていることは、どんなに心強いかわかりません。

【第一段階目の診療情報提供書】
こう考えていくと、在宅Team側から病院側に病気や治療の依頼だけではなく、「在宅時の生活」の様子を伝えていくことはとても大事になると思います。
具体的には、
・介護者がいるのか、独居なのか、誰が日常的に介護しているか
・介護サービスの活用状況はどうか、日常的にはデイサービスを利用しているのか
・お薬の管理は誰がしているか、忘れず服用できているのか
・食事は自分で摂食できるのか、介助が必要か、自身でも食事を作っているのか

このようなことをお伝えするために、それぞれに以下の報酬設定で評価されています。
生活の情報はケアマネージャーさんや訪問看護師さんの方がきめ細やかにお持ちになっているからだと理解しています。

■在宅医: 診療情報提供料Ⅰ (250点) + 療養情報提供加算(+50点)
診療情報提供料Ⅰは、皆さんよくご存じの通り、病状等を添えて「診療の依頼」をするもので、この場合は入院加療のお願いということになると思います。
この中に、患者さまやご家族の療養の希望・・・例えば「自宅での看取りを希望している」「ケアをする人がいないので施設を希望」などと記載されると、早期から退院支援を行うことができます。

また、療養情報提供加算は、訪問看護ステーションからの「訪問看護情報提供書」を添付して入院医療機関に情報提供した場合に算定が可能になります。

■訪問看護ステーション: 訪問看護情報提供療養費3(1500円、月1回)
利用者が医療機関・介護医療院・介護老人保健施設に入院・入所する際に、その利用者についてのケア時の具体的な方法や留意点、また、継続すべき看護などの情報を提供した場合算定できるものです。

この場合、訪問看護報告書で代用することはできませんので、ご注意ください。
また、一人の利用者様に2か所の訪問看護ステーションがかかわっている場合も、算定は1か所となりますので、注意が必要です。
入院・入所する医療機関などが訪問看護ステーションと特別の関係にある場合や主治医が所属する医療機関である場合は算定ができませんので、これも留意点だと思います。

■居宅介護支援事業所: 入院時情報連携加算(Ⅰ)200単位、(Ⅱ)100単位
利用者が病院・診療所に入院した場合に、入院先の医療機関の職員に対し、利用者情報を提供した場合に算定できます。
(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは、入院後何日目に情報提供したかの違いです。
(Ⅰ)は入院後3日以内の場合
(Ⅱ)は入院後4日以上7日以内の場合、に算定できます。

【入院医療機関が入院時に行うこと】
入院された患者さんの、ご自宅での状況を把握するために早期にかかりつけ医(クリニック)とケアマネジャーに連絡を取るということでしょうか。こうしてしっかりと在宅での様子を把握し、退院後に対する家族の要望をお聴きすることが必要だと思います。

次回は入院中の多職種連携について考えていきたいと思います。

パートナー 長幸美