【医療介護あれこれ】在宅医療における多職種連携④~自宅での多職種カンファレンス~

こんにちは、長パートナーからコラムが届きましたのでご紹介いたします。

さて、今回、在宅医療における多職種連携を数回にわたり考えてきました。
入院前から入院中、退院に向けて、様々なかかわりがありましたね。
入院することなんて、本当に一大イベントですし、まして手術等を行った場合は、その後の自宅での生活が本当に心配になります。その時には、自宅でのこれまでの生活を知っている方がその生活がどう変化していくのか、についても、退院前訪問指導、退院後訪問指導等を通して、また、福祉用具等の利用も含めて、かなり手厚くサポートの体制をとることができるようになってきています。

では、そんな「入院」というイベントまではならなくても、在宅において、どのようなサポートを受けることができるか、提供できるのか、ということを考えてみましょう。

【利用者の自宅で行う多職種カンファレンス】
皆さんが日々体調の変化があるように、在宅療養をしている方々も、体調に変化があります。私たちは自分で判断し、対処することができるものですが、高齢者になると、感覚も鈍くなり、暑さ・寒さ、のどの渇き等もあまり自覚できなくなるようです。そういった中で、第三者の医療者・介護職の方々の観察はとても重要になり、入院等の大きなイベントとなる可能性を抑えるうえでもとても重要な役割があると思います。
この連携により、在宅介護を継続するということが可能になってきます。

■在宅患者緊急時等カンファレンス料 200点・・・主治医が算定できる。
患者の状態の急変や診療方針の変更によるカンファレンスであることが算定要件となります。単なるサービス担当者会議では算定はできません。
訪問時に、状態の変化(悪化)を認め、緊急にケアマネに報告し、複数の専門職が患者の自宅に訪れてカンファレンスとなりますが、訪問できない場合は、Webを活用したオンラインカンファレンスでも算定することができることとなりました。
月に2回まで、算定が可能です。

算定要件となる、職種は、①歯科医師・歯科衛生士、②薬局の薬剤師、③訪問看護ステーションの訪問看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、④ケアマネジャー、⑤相談支援専門員、が該当します。
つまり、訪問診療等実施時に異変を察知し、主治医(医療機関側)の求めに応じて、他の専門職種と一緒にカンファレンスを行うイメージですね。この場合カンファレンスの会場は患者さんの家になります。

■緊急招集時
この緊急招集時に、参加した訪問看護師は、同様に「在宅患者緊急時等カンファレンス加算」の算定が可能になります。複数の訪問看護ステーションがかかわる場合などの場合も、それぞれに算定は可能です。
この場合、同じ医療機関内の医師と訪問看護師の場合は、算定ができませんので、注意が必要です。

■ケアマネジャーの参加
その方にとって、必要な介護サービスのプランニングを行う上で、ケアマネジャーは重要な役割を果たしています。

■医師の参加が難しい場合・・・ビデオカンファレンスでOK
患者の急変時であることが前提であるため、算定にあたっては、医師の参加が必須になります。しかしながら、医師がすぐに患者宅に駆けつけることが難しい場合も多々あると思います。その場合、Web活用したビデオカンファレンスでもよいことになっていますが、そのための要件が以下の通りです。
① カンファレンスに3者以上参加していること、
② 3者以上のうち2者以上が利用者の居宅に赴いていること

つまり、ケアマネジャーが発案となり、カンファレンスを実施した場合は、「サービス担当者会議」という扱いになり、この加算は算定ができないことになります。

【こんなときどうする?!】
① 退院時の訪問看護については、例外的に認められている場合がありますが、入院日の訪問看護は算定ができますか?
⇒利用者の請求先により、考え方が異なります。
<医療保険>
原則、算定はできません。
訪問看護終了後に利用者が急変し、緊急入院した場合のみ、算定が可能です。

<介護保険>
ケアプランに位置付けられた訪問看護は算定可能です。
但し、入院・入所の日に、目的もなく訪問看護を組み込むということは適切ではありません。状態が不安定な利用者に対し、「入院直前の看護が必要だ」という目的での訪問看護利用が望ましいようです。

② 退院後1か月以内には利用者を守るための特例が様々に準備されていますが、なかなか整理できません。退院後はすべて医療保険での訪問診療が可能なのでしょうか?
⇒在宅療養を開始したばかりの利用者とご家族は不安がいっぱいです。
「退院後1か月以内の退院後特例」について整理しましょう。通常では算定できないケースなども、可能になるものがあります。一度確認を取りましょう。
■同一法人や開設者が同じなど、特別の関係の医療機関の訪問診療と訪問看護
ステーションからの医療保険の訪問看護の同日算定が可能
■医療保険の訪問看護で、医療機関の訪問看護と訪問看護ステーションの訪問看護の
同日算定が可能
■通常では1か所の医療機関しか算定できない在宅療養指導管理料が退院月のみ2つの医療機関で算定可能になる
■「退院直後」という理由で、特別訪問看護指示が出せる
■入院医療機関からの退院後訪問指導料が算定できる
■退院後3か月は在宅移行早期加算の算定ができる
■在宅移行早期加算の算定ができる
■退院後3か月は、短期集中リハビリテーション実施加算が算定できる

【おわりに・・・】
医療保険も介護保険も、いかにして在宅で生活することを支えていくか、というところが大きな課題となっています。

今回ここで取り上げたもの以外にも、薬剤管理、や栄養管理リハビリテーションについては、生活支援をしていくうえで、とても重要な役割があります。
薬剤管理に関しては、ポリファーマシーの問題がありますし、毎日決められたとおりに薬を飲むという行為も、だんだん難しくなってきます。
栄養・・・つまり食事に関しては、体を維持すると同時に、高齢者の唯一の楽しみ・生きがいという意味合いもあると思いますので、食事の支援ということは、とても大事ですね。
この食事の支援の中には、口腔ケアや咀嚼・嚥下という機能を維持していくことも重要になってきますし、身体機能を維持していくことに関しては、リハビリテーションにも通じていくものがあると思います。
また、そのリハビリテーションは起居動作のような基本的な体の使い方から、考えるチカラ、行動するチカラにもつながっていきます。動かないことにより、筋力低下を招きさらに動きたくない・・・という意欲低下も招いてきますので、よいことは何もないように思います。

生活を維持していく上では、その一つ一つがうまくかみ合わさっていかないと、在宅で生活をし続けることができないと思います。
その要である、在宅医療・・・皆さんの医療機関の中でも「支える医療」を提供するうえで、実践できることを考えてみては如何でしょうか?

パートナー 長幸美