【医療介護あれこれ】医療事務基礎講座「特定疾患療養管理料」

こんにちは、長パートナーよりコラムが届きましたのでご紹介いたします♪

今回は、数ある医学管理料の中で、「特定疾患療養管理料」について考えてみたいと思います。

【特定疾患療養管理料とは?】
別に厚生労働大臣が定める疾患を主病(特定疾患という)して、治療計画に基づき療養上必要な管理を行った場合に、月2回に限り算定できる」とされています。
つまり、簡単にいうと、特定疾患が主病のかたに、治療計画をたて、その計画に基づいて服薬、運動、栄養等の療養管理を行った場合に算定ができるものになります。

病床規模により、以下のように点数が分かれています。
■B000 特定疾患療養管理料

※ 現状はコロナ特例があり、電話再診等で、上記「治療計画に基づき療養上必要な管理を行った場合」には147点が算定できるようになっています。この対応は、コロナが収束するとなくなりますので、注意が必要ですが、やむを得ず電話等の再診により診療を行う場合は算定ができる場合がありますので、注意しましょう。

■注意事項
算定にあたっていくつかの注意事項がありますので、ここを押さえておきましょう。
① 初診料算定から1月以内は算定できない
⇒初診料の中に含まれるとされています。
② 入院中の患者及び退院した患者(退院1か月以内)は算定できない
⇒入院基本料に含まれるとされています。
③ 併算定できない項目がある
⇒B001「1」 ウイルス疾患指導料
B001「4」 小児特定疾患カウンセリング料
B001「5」 小児科療養指導料
B001「6」 てんかん指導料
B001「7」 難病外来指導管理料
B001「8」 皮膚科特定疾患指導管理料
B001「17」 慢性疼痛疾患管理料
B001「18」 小児悪性腫瘍患者指導管理料
B001「21」 耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料
C100~C120 在宅療養指導管理料
第8部精神科専門療法に掲げる I004 心身医学療法

【別に厚生労働大臣が定める疾患とは?】
いわゆる「特定疾患」といわれるものです。
点数表の中では、告示4特掲診療料の施設基準等の別表第1の中に規定があります。
疾患名としては、「F400 処方箋料 注4,注5_特定疾患処方管理加算」の疾患名と同じものです。詳細は、点数表の中にも、告示6 疾病、傷害及び死因の統計分類基本分類表の後ろのページにも標準病名等が載っていますので、詳細な確認は、このページをご参照ください。
■別表第1
「特定疾患療養管理料並びに処方料並びに処方箋料の特定疾患処方管理加算1及び特定疾患処方管理加算2に規定する疾患

結核 悪性新生物 甲状腺障害 処置後甲状腺機能低下症
糖尿病 スフィンゴリピド代謝障害及びその他の脂質蓄積障害
ムコ脂質症 リポ蛋白代謝障害及びその他の脂(質)血症 リポジストロフィー
ローノア・ベンソード腺脂肪腫症 高血圧性疾患 虚血性心疾患
不整脈 心不全 脳血管疾患 一過性脳虚血発作及び関連症候群
単純性慢性気管支炎及び粘液農政慢性気管支炎 詳細不明の慢性気管支炎
その他の慢性閉塞性肺疾患 肺気腫 喘息 喘息発作重責状態
気管支拡張症 胃潰瘍 十二指腸潰瘍 胃炎及び十二指腸炎
肝疾患(経過が慢性なものに限る) 慢性ウイルス肝炎 アルコール性慢性膵炎
その他の慢性膵炎 思春期早発症 性染色体異常

【よくある質問】
この特定疾患療養管理料では、指摘が多い項目としても知られていると思います。
カルテの記載において、どんなことに気を付けて算定する必要があるでしょうか?
■主病を明確に!
実際に主病を中心とした療養に必要な管理が行われていないケースがあるようです。
カルテやレセプト上で「主病」が何かということを明確にする必要があります。

■治療計画を作成する
検査結果に基づいて、「治療方針」について本人家族に説明をした内容を記載しましょう。
記載例) 初診R○.○.○
#1 糖尿病 #2 高血圧症
検査結果:✕✕✕✕✕✕
治療方針:本人・妻に説明。
自宅での食事(野菜を増やす)、運動(1日20分の散歩)をすること。
内服薬にて3か月後再検予定。

■指導内容は個別性を持たせる
「服薬、運動、栄養等の療養上の指導」を行うこと、次回の予定などを書いておくとよいと思います。また、検査結果により、コントロール状況も併せて記載されるとよいと思います。
記載例) R○.○.○
バイタル:
検査  :空腹時血糖 ○○
特定疾患療養管理:運動を継続、外食が多く、動物性油脂が多いとのこと。
野菜をとることを意識するよう伝える
内服は継続、次回予約○月○日、採血・栄養指導を予定

ここでポイントとなることが、主病に対する指導内容があるかということになります。
例えば、主病が「慢性胃炎、糖尿病」のときに毎回「薬は忘れずに飲みましょう」「よく噛んで食べましょう」「運動をしましょう」と書いていて、記載が画一的であり、患者に応じた指導をしてください、と指摘を受けた医療機関もあります。

■算定漏れをなくすためにどうしたらいいでしょうか?
こう聞かれることが時々あります。また、「先生が算定して」と書いていないから・・・という声も時々聞きます。さて、事務職員の皆さんカルテの中身をご覧になっているでしょうか?
算定漏れをなくしたいあなた!
カルテを読んでみてください。診療の横について、どんなお話をしているか、半日でいいので、聞いてみてください。
先生は、次回のこと、今後の診療頻度、お薬の使い方、お酒の量・・・など、お話をして記録をされていると思います。「療養指導」「治療方針」と意識されているかどうかだと思いますが、事務員であっても、気付いてほしいなと思います。

請求漏れ解消に特効薬はありませんが、こういう気付きって本当はとっても大きいのです。電子カルテから電子請求になり、なかなかカルテを見るという機会がなくなってきているのも事実ですが、先生方がされている診療をしっかりと収入に変えていく・・・大事な仕事です。特に指導管理については大きな違いが生まれます。気付ける事務員になりましょうね!

パートナー 長幸美