【医療介護あれこれ】処置料の算定漏れていませんか?

こんにちは、長パートナーからコラムが届きましたのでご紹介いたします。

医療機関の方と話をしていて、処置料の算定漏れがあるケースが見受けられます。
皆さんの医療機関ではどのように計算されているでしょうか?
今回は基本的な事項を確認していきたいと思います。

紙のカルテの場合だと、処置内容と使用薬剤などはゴム印を押して数量を書く。ということで記録にも残しやすく、漏れも少なかったのではないかと思います。
しかし、現在は電カルを採用されている医療機関が増え、先生が操作し、看護職員は閲覧のみ。とされている医療機関もあるように思います。
病名コードに始まり、処置コード、薬品コード、医療材料コード、さらにはコメントコードまで、厚労省の指定するコードを入力しないとレセプトに反映できないため、先生方の作業効率は落ちているのが現状ではないかと思います。

■処置料の算定ルール
処置料算定の基本的な構成は、以下の通りです。

処置料(手技料) 処置医療機器等加算 薬剤料 材料費

診療報酬点数表では、一般処置と、診療科特有の処置が分かれて記載されています。2種類以上の処置を同時に行った場合、主たるもの・・・つまり高い点数で算定することが多いものですが、こういったルールは「通則」といわれる部分に書かれています。

<簡単な処置>
処置の項目に掲げられていない簡単な手技・・・例えば、点眼や狭い範囲の軟膏塗布、浣腸や座薬の挿入、吸入、湿布処置、などは基本診療料の中に含まれて算定ができないルールになっています。

<特殊な処置>
処置の項目に掲げられていない処置であっても、特殊な場合などは、一番近いと思われる項目を「準用点数」として算定することができます。ただし、当局と内儀し、判断を仰ぐ必要がありますので、注意が必要です。

<使用した薬剤>
算定ができない処置についても、使用した薬剤料については、合算して2点・・・つまり15円以上になった場合は薬剤料の算定ができるルールとなっています。

例えば、第1度熱傷処置(100㎡未満:手のひら大)の処置を行った場合の処置料は算定ができないものとされていますが、その処置に使用した薬剤料は算定できます。
ただし、単なる浣腸または座薬挿入のためのキシロカインゼリー2%については原則として認めないとされていますので、注意が必要です。

<衛生材料について>
ガーゼや綿花、酒精綿、テープ等の衛生材料については、実費も含め算定することはできません。これはすべて処置の手技料の中に含まれるという考え方になります。

■自院で行われている処置について知っていますか?
皆さんは、医療機関の中で行われている処置や手術など、どんな治療が行われているか、ご存じでしょうか?
「いやいや、私たちは事務員であって、知るわけないじゃない!」と思われる方も多いかもしれません。事務が知らなくてよい、ということは何もありません。

医療事務とは、先生方の医療行為をお金に換えていくのです。処置内容を知らずに、正しくもれなく算定できているでしょうか?どんなに良い電子カルテとレセコンを開発しても、別の項目に読み替えて算定する必要は出てきますし、いくつかの組み合わせで算定内容が変わってくる場合もあります。知らなくてよいことはないと思います。
診療で忙しい先生方に、その都度「この処置をした場合、どの点数になるか?」「薬剤はこれとこれを、複数個所になったから合計でこの程度の薬剤と・・・」と項目ごとに厚労省コードに紐づけされたものを選んでいるとしたら・・・どれだけ時間があっても足りませんよね。

■事務職員のスキルアップが必須!
「この病名で、こんな処置をしているのであれば、こちらの点数で算定ができるのではないでしょうか?」
「薬剤の記載がありませんが、使用されていませんか?」
こんな気づきができる事務職員さんを先生方は求められているのではないかと思います。

このためには、ぜひ、処置等の現場を、見学してみてください。
先生方の医療行為、看護師さんたちの処置にかかる手間、そして薬剤や医療材料など、実際に見て・触れてみることで、カルテを見たときにイメージがわくと思います。それが、処置点数につながり、算定漏れをなくすことができると思いますよ!

<参考資料>
■医科点数早見表:特掲診療料 J処置_通則、薬剤料_209ページ~
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000907834.pdf