【医療介護あれこれ】シリーズ「在宅医療その1」~在宅医療制度を学ぼう~

こんにちは、M&C後方支援チームです。長パートナーよりコラムが届きました。

近年、コロナ禍の影響もあり、在宅医療やオンライン診療に関するご要望が増えているようです。「在宅医療」は入院医療・外来医療と並んで、診療の3本柱になっています。しかし、細かなルールがたくさんあり、制度を理解していないと、利用者が十分に活用できないという問題が起こってきます。通院が難しくなってきた患者さんに対し、どのような提案ができるのか、医師だけではなく、「在宅医療」に取り組む看護師、事務スタッフが十分に理解していないと、クリニックをはじめとする医療機関の方々の力を最大限に発揮することはできないと思います。在宅医療の質を上げるためにも、これを機会に皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。

今回は、「在宅医療制度」についてです。

在宅医療では、医療保険で行うサービスと、介護保険で行うサービスがあります。
医療の現場にいらっしゃる方々は、「医療保険サービス」というと「なんで医療がサービスなのよ!」と思われるかもしれません。しかしながら、在宅医療の本質は改定の中でも出てきた「生活を支える医療」そのものだと思います。治療的要素も含みながら、その方が暮らす家庭や介護支援も含めてみていくという意味合いも含めると、「サービス」という言葉が理解できるのではないでしょうか。その中では患者の状態や処置の必要性により、医療保険・介護保険を使い分ける必要が出てきます。使い分けのポイントは後日説明いたします。

在宅医療に関連する制度は3つあります。①医療保険制度、②介護保険制度、③公費負担医療制度(いわゆる福祉制度)です。

【医療保険制度】
国民健康保険や後期高齢者医療、健康保険などの医療費保険のことです。
被保険者が支払う保険料と公費(税金)で賄われています。外来診療や入院医療、と同様に在宅医療においても、「訪問診療」や「往診」などはこの医療保険制度から診療報酬として支払われます。年齢やその方の所得などにより、一部負担金の割合が決められており、医療機関の窓口で一部負担金を支払えば、残りの医療費は医療費保険から医療機関に支払われる仕組みとなっています。

(出典:厚労省ホームページ「我が国の医療保険」より)

【介護保険制度】
家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支えることを目的に2000年に施行されました。被保険者は65歳以上の第1号被保険者と40歳~64歳までの第2号被保険者sがあり、介護保険の保険者は市区町村になります。
介護保険制度では、施設サービスの他、居宅サービス(訪問計サービス、通所系サービス、短期入所系サービス)、地域密着型サービス(グループホーム、小規模多機能など)があります。

【公費負担医療制度】
障害や難病、生活困窮者に対しては、一部負担金や医療費事態を公費で賄うことができるものがあります。在宅医療と関係が深い福祉制度には、「障害者福祉制度」「公費負担医療制度」があります。
<障害者福祉制度>
① 障害者手帳・・・障害者手帳には「身体障害者手帳」と「精神障害者保健福祉手帳」
「療育手帳」の3種類があります。
申請することにより、税金の控除や免除、医療費の助成などが受けられます
その他、NHKの受診料の減免や携帯電話の電話料の割引、JRや航空会社など
各種交通機関の利用料の割引、博物館や美術館の入場料の割引、公共料金や民間
会社が実施する割引制度等もあります。
② 障害者総合支援法によるサービス・・・その方の障害支援区分の認定を受け、
区分に応じて支援を受けることができます。
認定には、主治医の意見書や訪問調査、判定会議を経て決定されます。
受けられるサービスは以下の通りです(抜粋)
・介護給付(ホームヘルプ、短期入所、訪問・通所サービス)
・訓練等給付(機能訓練、生活訓練、就労支援等)
・相談支援
・自立支援医療(更生医療・育成医療・精神通院)、
・補装具

<公費負担医療制度>
医療保険制度として、医療費の一部若しくは全額を公費で賄うものです。
主なものは以下の4種類です。
① 自立支援医療・・・身体障害者(児)、精神障害者(児)、
② 特定疾患医療費助成・・・指定難病の患者(333種)医療保険・介護保険優先、
③ 小児慢性特定疾病医療費助成・・・18歳三案の小児慢性特定疾病の患者
④ 医療扶助・・・生活保護の決定を受けた生活困窮者

これらの①~③については、それぞれに医療保険が優先され、一部負担金の上限額は世帯の所得に応じで変化していきます。一方④医療扶助は生活保護の決定が下りた段階で、国民健康保険や後期高齢者等の保険の資格がなくなります。

パートナー 長幸美