【医療介護あれこれ】同一建物と単一建物~違いを理解しよう!

こんにちは、長パートナーからコラムが届きましたのでご紹介いたします。

在宅医療を行う中で、似たような言葉でも、ちょっと意味合いが違うものがあります。
今回はそのような中でも、「同一建物」と「単一建物」についてみていきたいと思います。

■同一建物居住者とは
ひとつの医療機関が、同一日に同一建物の患者2人以上に訪問診療や訪問看護などを行った場合、「同一建物居住者」として扱う、というルールがあります。
これは、養護老人ホームや軽費老人ホーム、特別養護老人ホーム、グループホーム、有料老人ホーム、などのような施設や、小規模多機能等のショートステイ利用者が該当しますが、マンションなどの集合住宅もこれに該当します。同じ屋根の下に複数の住まいがある場合と整理できると思います。
あくまでも「一つの屋根の下」ですので、渡り廊下等で繋がっている場合は別の建物として扱います。
【同一建物居住者】の考え方が適用される点数は以下の通りです。
①在宅患者訪問診療料(Ⅰ)
②同一建物居住者訪問看護・指導料
③在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料2
④在宅患者共同指導料3
同じような場合で、ひとつの患者さんの家・・・つまり同一世帯に、複数人の患者が同居している場合は、「同一患家」という考え方になります。同一患家の考え方が適用される点数は往診料と在宅患者訪問診療料(Ⅰ)です。
例えば、上記のマンションや有料老人ホームなどの場合でも、同じ部屋に夫婦で済んでいる場合などは、同一患家の概念が適用される場合がありますので、注意が必要です。

■単一建物診療患者数
一方、2016年の診療報酬改定で、「単一建物」という概念が導入されてきました。
これはマンションや有料老人ホームなど一つの建物において、医学管理を行う患者数を「単一建物診療患者数」といい、在宅時医学総合管理料(在医総管)や「施設入居時等医学総合管理料(施設総管)の報酬の区分に使用されています。
つまり1か月にその建物の中で合計何人の患者さんに医学管理を行ったのか、ということがポイントになります。
【単一建物診療患者数】の考え方が適用される点数は以下の通りです。
①在宅時医学総合管理料
②施設入居時等医学総合管理料
③在宅患者訪問薬剤管理指導料
④在宅患者訪問栄養食事指導料

在宅時医学総合管理料等の管理料・指導料は単一建物診療患者の人数に応じて「1人の場合」「2~9人の場合」「10人以上の場合」と点数が区分されています。
認知症グループホームにおいてはユニットごとに単一建物とみなし、単一建物診療患者数をカウントします。ただしユニット数は3以下に限ります。
以下の①~③の場合は、単一建物診療患者数が複数であっても、それぞれの患者に対して「1人の場合」の点数が算定できます。(②と③は施設入居時等医学総合管理料を除きます)
①同一患家の場合
②在宅時医学総合管理料等の管理料・指導料を算定する患者が同一建物の戸数10%以下の場合
③戸数が20戸未満の建物で在宅時医学総合管理料等の管理料・指導料を算定する患者が2人以下の場合

それぞれの適応の違いを見てみると・・・

■在宅患者訪問診療料
同一建物居住者以外の場合は888点であるのに対し、同一建物居住者の場合は213点とかなり低い点数が設定されています。これは、2人目以降は移動に関する負担が減ることを見越しての点数設定となっています。

ただし、例外の規定が3つあり、ここは忘れずチェックしてもらいたいと思います。

■例外規定
これは同じ建物の中に、複数人の患者があったとしても、「同一建物居住者としてカウントから外すことができる患者さんの状態」です。
① 往診を実施した場合
② 末期の悪性腫瘍と診断された後に訪問診療を開始した日から60日以内の患者
③ 死亡日からさかのぼって30日以内の患者

通常であれば、往診を行った場合でも、同じ家または建物の場合、1人目は往診を算定しますが、2人目は、初・再診料+外来診療料・検査・投薬などを算定します。

また、訪問診療を行う場合は、同一建物の中に複数人の患者を診療する場合は、すべての患者に対し、「同一建物居住者」としての点数を適応します。ですので、この例外規定はしっかりとおさえていただきたいと思います。

医学通信社の診療報酬点数早見表に算定事例が記載されていますので、ぜひ参考にしてください。

在宅医療や訪問看護、介護保険が絡む場合もありますので、皆さん苦手意識を持たれているかもしれません。ややこしくて難しいといわれるのは、この似たような言葉にも原因があるかもしれません。算定漏れや誤請求がとても多い項目ですので、ひとつ一つをきちんと整理・確認し、算定漏れがないようにしていきましょう。

<参考資料>
〇医学通信社「診療報酬点数早見表」_第2部在宅医療 の各項目をお読みください
C000_往診料
C001_在宅患者訪問診療料(Ⅰ)
C002_在宅時医学総合管理料
C005_在宅患者訪問看護・指導料    /等
〇「月間保団連」在宅医療点数の手引き  /等

                                 パートナー 長幸美

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