「脱ハンコ文化」について

2022年9月29日に厚生労働省が発出した局長通知の表題は「介護サービス事業所指定における電子申請・届出システムの運用開始に伴う対応等について」でした。これは「介護現場から押印の必要な書類をなくす」方針を改めて全国の自治体に呼び掛けた内容になります。


厚生労働省はこれまで、介護事業所の負担の軽減のために書類作成等のデジタル化の方針を打ち出してきました。その方針の大きな壁となっていたのが日本の押印文化です。デジタル化を進めていくためにはこの押印をなくしていく必要があり、厚労省はこれまで種々の書類から押印欄をなくしていくよう求めていました。しかし実際には、一部の書類でしか押印欄はなくなっておらず、依然として介護現場の職員は利用者や家族の書類を求めて自宅へ訪問したり、返信用封筒と一緒に書類を郵送したりといったやり方を行っています。また、押印は押印でも、実印でないといけないのか、シャチハタでも大丈夫なのか、ここの部分も多種多様な解釈が入り混じり、判断に迷った結果一番間違いのなさそうな「実印を押す」という決断を下している事業所が多いのではないかと思います。


いわゆる「脱ハンコ」は今後のデジタル化の促進を加速させていくためにも重要なファクターとなります。厚生労働省からの通知にあるような、各自治体の積極的な取り組みももちろん重要ですが、各介護事業所も「こうしておけば怒られないだろう」という消極的な判断をするのではなく、積極的に自治体に確認を取りながら、自事業所の効率化を図っていかなくてはなりません。

この記事を書いたパートナー

一般社団法人 アジア地域社会研究所 原田 和将

介護現場での管理者としての経験を活かした職員研修、コーチングを中心に活動。コーチングはITベンチャーなど多岐にわたる業態で展開。国立大学での「AIを活用した介護職員の行動分析」の実験管理も行っており、様々な情報を元にした多角的な支援を行う。

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