成年後見制度について

5月18日に来年の報酬改定に向けた 意見交換会が行われました。テーマは「人生の最終段階の医療介護」であり、本人や家族の意思決定について議論が進められました。医療機関やケアマネジャーに求められる役割や、認知症高齢者の意思決定を尊重するための早期からの支援、尊厳ある死の観点、そのための医療介護の連携や家族との情報共有など、人生をテーマにした、とも言える内容でした。
日本は世界一の高齢社会でありながら、認知症高齢者の意思決定支援に対する取り組みに関してはあまり進んでいないといえます。「成年後見制度」の活用を例に挙げることができます。
成年後見制度とは、認知症、知的障害その他の精神上の障害により判断能力が不十分な人の権利擁護を支える重要な手段として位置付けられている役割ですが、成年後見制度の活用が十分に浸透しているとはまだ言えません。アメリカでは、将来的に意思決定能力が失われる場合に備え、予め信託や持続的代理権を設定することが一般化しています。つまり自身が認知症になった際の資産管理などを行う役割も成年後見人が担うことができるわけです。個人の意思や要望をはっきりと宣言しておき、認知症等になった後も本人の意思の通りに周囲にサポートをしてもらう体制を作っておく、という考え方が浸透している形です。
今回の意見交換会ではこのような個人の意思や要望についてフォーカスを当てることになったわけですが、そこで取り上げられた「介護サービスの利用開始時の、ACP(人生会議)の取り組みを促すなど具体的な働きかけ」「介護報酬の加算などのインセンティブの強化」などは、高齢者に関わるケアワーカー達にとって、新しい視点を持たなくてはならないフェーズが来たことを感じさせる内容となりました。

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