賃金・物価上昇に備える支援事業の概要
こんにちわ、村上佳子です。
新年早々、医療機関の皆様にとって重要な事務連絡が出ましたので、お知らせいたします。 厚生労働省から1月26日付で「令和7年度 医療機関等における賃上げ・物価上昇に対する支援事業」の実施要綱が発出されました。
近年の賃金・物価上昇を踏まえ、医療機関等の従事者の処遇改善と経営の安定化を図ることを目的とした支援事業です。
支援事業の概要
今回の支援は、大きく2つに分かれています。
1. 病院への支援
①賃上げ支援 病床数に応じた給付金が支給されます。職員の賃金改善に使うことが求められています。 対象となるのは、令和8年2月1日時点で「ベースアップ評価料」を届け出ている病院です。
②物価支援 同じく病床数をベースに、診療に必要な経費への支援として給付金が支給されます。 救急医療や手術、分娩などの機能に応じた加算もあります。
病院は①と②の両方を受け取ることができます。
2. 診療所・薬局・訪問看護ステーションへの支援 賃上げ支援
各施設に対して、職員の賃金改善のための給付金が支給されます。
・有床診療所:病床数に応じて
・無床診療所:一律
・訪問看護ステーション:一律
・薬局:グループの規模に応じて
診療所と訪問看護ステーションは、令和8年3月1日時点でベースアップ評価料を届け出ている必要があります。 薬局は、令和8年6月1日時点で改定後のベースアップ評価料を届け出ることを誓約すれば対象となります。
■賃金改善の基本的な考え方
給付金を受け取った医療機関は、職員の賃金改善を実施することが求められています。
実施時期と方法
■原則
令和7年12月から令和8年5月まで、職員のベースアップ(基本給や手当の引き上げ)を実施し、令和8年6月以降もその水準を維持または拡大します。
■例外的な対応
給与規程の変更に時間がかかる場合は、一時金や特別手当での対応も可能です。ただし、令和8年6月からは正式なベースアップが必要になります。
■対象となる職員
開設者と労働契約を結んでいる職員が対象です(非常勤も含む)。 ただし、病院長や管理者、理事長、個人事業主は対象外です。
■配分の考え方
特定の職員だけに偏った配分は避けることとされています。 一方で、職種ごとに傾斜をつけることは認められています。たとえば、賃金水準が低い職種に重点的に配分するといった工夫は可能です。
注意すべきポイント
■報告と確認
令和8年8月1日までに「賃金改善報告書」を提出し、給付金がきちんと賃金改善に使われたことを報告する必要があります。
もし使われていなかった場合は、返還を求められることがあります。
・返還が必要になる場合
・賃金改善に使われていない場合(全部または一部)
・不正な申請があった場合
・正当な理由なく廃院した場合
■他の財源との関係
すでに診療報酬や他の補助金で賃金改善を行っている部分には、この給付金を充てることはできません。
ただし、今年度にすでに2.0%を超える賃上げを実施している場合は、その超過分に充てることは認められています。
大切なこと
この支援事業は、単に給付金を受け取るだけでなく、職員の処遇改善につなげることが目的です。
同時に、令和8年6月以降も賃金水準を維持することが求められていますので、一時的な対応ではなく、中長期的な視点で賃金体系を考えていく必要があります。
また、配分方針を決める際には、職員の代表や労働組合とも相談しながら、透明性のある形で進めることが望ましいでしょう。

